引き入れ
ひきいれ
名詞
標準
文例 · 用例
換言すれば彼等は、対象の物に就いて物を見ずして、それを自己の主観に引き入れ、気分や感情の中に融かしてしまう。
— 萩原朔太郎 『詩の原理』 青空文庫
もっともこれらの場合では、観客を一度完全にスクリーンの上の人物の内部へ引き入れてしまわなければならない。
— 寺田寅彦 『耳と目』 青空文庫
)学円 (引き入れられて、思わず涙ぐむ。
— 泉鏡花 『夜叉ヶ池』 青空文庫
白糸が佇みたるは、その裏口の枝折門の前なるが、いかにして忘れたりけむ、戸を鎖さでありければ、渠が靠るるとともに戸はおのずから内に啓きて、吸い込むがごとく白糸を庭の内にぞ引き入れたる。
— 泉鏡花 『義血侠血』 青空文庫
母は、わざと、中津を家に引き入れているように見えた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
保護貿易主義は、労働の発達の中へ暴力を導引き入れるものであり致命的な軍国主義の狂態を齎らすものなのだ。
— 黒島伝治 『反戦文学論』 青空文庫
そこで、だんだんに取り調べると、孤芳は万次郎と手を切ると約束して置きながら、その後もやはり内証で男を引き入れていると、重兵衛もそれを感付いたのでしょう、今夜わたくし共よりひと足さきへ踏ん込んで来て、一つ蚊帳のなかに寝ていた孤芳と万次郎を取り押えました。
— 正雪の絵馬 『半七捕物帳』 青空文庫
その餌取りの老人がしきりに金之助を褒める以上、双方のあいだに特別の親しみがあるらしく察せられたので、半七はむしろこの老人を語らって自分の味方に引き入れようかとも考え付いた。
— 鷹のゆくえ 『半七捕物帳』 青空文庫