草叢
くさむら
名詞
標準
文例 · 用例
わたしは鶉のやうに羽ばたきながらさうして丈の高い野茨の上を飛びまはつたああ 雲よ 船よ どこに彼女は航海の碇をすてたかふしぎな情熱になやみながらわたしは沈默の墓地をたづねあるいたそれはこの草叢の風に吹かれてゐるしづかに 錆びついた 戀愛鳥の木乃伊であつた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
僕等が草叢をすぎたときさびしい葉ずれの隙間から鳴るそわそわといふ小笛をきいた。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
それはこの草叢の風に吹かれてゐるしづかに 錆びついた 戀愛鳥の木乃伊であつた。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
お山の草叢から、黄腹、赤背の山鱗どもを、綯交ぜに、三筋の処を走らせ、あの踊りの足許へ、茄子畑から、にょっにょっと、蹴出す白脛へ搦ましょう。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
われら附添って眷属ども一同守護をいたすに、元来、人足の絶えた空屋を求めて便った処を、唯今眠りおる少年の、身にも命にも替うる願あって、身命を賭物にして、推して草叢に足痕を留めた以来、とかく人出入騒々しく、かたがた妨げに相成るから、われら承って片端から追払うが、弱ったのはこの少年じゃ。
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
路ばたの草叢では蟋蟀が鳴き始めていた。
— 黒島傳治 『武装せる市街』 青空文庫
丘には処々|草叢があり、灌木の群があり、小石を一箇所へ寄せ集めた堆があった。
— 黒島傳治 『雪のシベリア』 青空文庫
なんでも兎は、草叢があったあたりからちょか/\走り出して来ては、雪の中へ消え、暫らくすると、また、他の場所からちょか/\と出て来た。
— 黒島傳治 『雪のシベリア』 青空文庫