掻き口説く
かきくどく
動詞
標準
文例 · 用例
そのほかにも、うらぶれて、この裏長屋に住み付いてから二十年あまり、鰥夫暮しのどんな佗しいときでも、苦しいときでも、柳の葉に尾鰭の生えたようなあの小魚は、妙にわしに食いもの以上の馴染になってしまった」 老人は掻き口説くようにいろいろのことを前後なく喋り出した。
— 岡本かの子 『家霊』 青空文庫
ところが、僕がくどくどと掻き口説くのを黙って聞いていた幸子さんは、いきなり、僕の、熱のためにカサカサ乾いた唇へ接吻したではないか。
— 渡辺温 『勝敗』 青空文庫
実際、思ふままのこころを挙げてうちつけに掻き口説くよりも、私はじつと握りしめた指さきの微細な触感にやるせない片恋の思をしみじみと通はせたいのである。
— 北原白秋 『桐の花とカステラ』 青空文庫
(涙を含みて掻き口説く。
— 岡本綺堂 『箕輪の心中』 青空文庫
ナライ小碓皇子の故智を倣い、花恥ずかしき美女に化けて往くと、ノンテオクたちまち惚れて思いのありたけ掻き口説く。
— 鶏に関する伝説 『十二支考』 青空文庫
この夜更けに不思議な事と思って、窃かに近づいてみると、件の女性は、遠い処の妓楼から脱け出して来た妓女らしく、春装を取り乱したまま土盛りの上にヒレ伏して『あなたは何故に妾を振り棄てて死んだのですか』と掻き口説く様子を見ると、いか様、相思の男の死を怨む風情である。
— 夢野久作 『ドグラ・マグラ』 青空文庫
ひた泣きに泣いて掻き口説くのであった。
— 国枝史郎 『娘煙術師』 青空文庫
」 恋しい男の右衛門へ取り付き縋っているとは夢にも知らず彼女は血汐の涙を流し、必死の思いで掻き口説くのであった。
— 国枝史郎 『蔦葛木曽棧』 青空文庫