説き去る
ときさる
動詞
標準
文例 · 用例
けれども、説き去るかたわら新しい懐疑が起って、彼は呪われた和蘭人のように、困憊彷徨を続けているのだ。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
それを一般に行き亘って実行のできる大主義のごとくに説き去る彼は、学者の通弊として統一病に罹ったのだと酷評を加えてもよいが、たまたま文芸を好んで文芸を職業としながら、同時に職業としての文芸を忌んでいる余のごときものの注意を呼び起して、その批評心を刺戟する力は充分ある。
— 夏目漱石 『思い出す事など』 青空文庫
並居る老臣に封書を披露し、説き起し説き去る天下の形勢、説き終つて大声一番、者共、いざ出陣の用意、と怒鳴つたといふ、血気横溢、呆気にとられたのは老臣どもで、皆々黙して一語を答へる者もない。
— 坂口安吾 『二流の人』 青空文庫
人生もろもろの悩みに光明をたれジュンジュンと説き来り説き去るのが鼻ヒゲいかめしい大先生や頭をまるめた大先生では花がない。
— 坂口安吾 『人生案内』 青空文庫
淡々として説き去るその文は併し凡庸の言ではない。
— 恩地孝四郎 『人生・文章習練の書』 青空文庫
それにしても、その説き起し説き去るくだりは、およそ制限漢字など無視した詔勅のごときものであつたのは、この教王があるいは大いにユーモアを解されるご仁かとも思われたことであつた。
— 秘田余四郎 『字幕閑話』 青空文庫
仮にこれだけの俳諧史的知識を持合せていたところで、その一切を十分に消化し、自在に説き去ることは容易でない。
— 柴田宵曲 『「俳諧大要」解説』 青空文庫