檐
檐
名詞
標準
文例 · 用例
神もおはしまさば我家の檐に止まりて御覽ぜよ、佛もあらば我が此手元に近よりても御覽ぜよ、我が心は清めるか濁れるか。
— 樋口一葉 『軒もる月』 青空文庫
檐の鶏小屋には餌が木箱に残され、それがひっくりかえって横になっていた。
— 黒島伝治 『パルチザン・ウォルコフ』 青空文庫
この趣味を描くために武蔵野に散在せる駅、駅といかぬまでも家並、すなわち製図家の熟語でいう聯檐家屋を描写するの必要がある。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
駅前の俥は便らないで、洋傘で寂しく凌いで、鴨居の暗い檐づたいに、石ころ路を辿りながら、度胸は据えたぞ。
— 泉鏡花 『眉かくしの霊』 青空文庫
」 と暮れかかる蜘蛛の囲の檐を仰いだ、奴の出額は暗かった。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
」 女房は顔を上げて、「小児だねえ」 と独りでいったが、檐の下なる戸外を透かすと、薄黒いのが立っている。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
檐下の黒いものは、身の丈三之助の約三倍、朦朧として頭の円い、袖の平たい、入道であった。
— 泉鏡花 『海異記』 青空文庫
」 一面の日当りながら、蝶の羽の動くほど、山の草に薄雲が軽く靡いて、檐から透すと、峰の方は暗かった、余り暖さが過ぎたから。
— 泉鏡花 『春昼』 青空文庫