濡髪
ぬれがみ
名詞
標準
文例 · 用例
艶やかな濡髪に、梅花の匂|馥郁として、繻子の襟の烏羽玉にも、香やは隠るる路地の宵。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
そは熱き夏の渚辺、濡髪のなまめかしさに、女つと寝がへりながら、みだらなる手して結びし色|紅き韈の紐。
— 北原白秋 『邪宗門』 青空文庫
燕燕は翔る、水無月の雲の旗手の濡髪に。
— 北原白秋 『第二邪宗門』 青空文庫
その女の持つ毛という毛、髪という髪からは、肩に垂れた濡髪からも、また、茂みを吹く風のように、衣摺れの音でも立てそうな体毛からも、それはまたとない、不思議な炎が燃え上がっているのだ――緑色の髪の毛。
— 小栗虫太郎 『紅毛傾城』 青空文庫
沃度に、塩にさ丹づらふ海の宝のもろもろは濡髪長き海藻や、珊瑚、海胆、苔までも、臙脂紫あかあかと、華奢のきはみの絵模様に、薄色ねびしみどり石、蝕む底ぞ被ひたる。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
われは昔の野山の精をまなびて、こゝに宿からむ、あゝ、神寂びし篠懸よ、なれがにほひの濡髪に。
— 上田敏 『海潮音』 青空文庫
国破れても、山河あり、伊香保の桜は今年も濡髪色の洞の口へ散るのであらうが、今ではそれを見に行く方法もなし、そんな気分にもなれない。
— 平野萬里 『晶子鑑賞』 青空文庫
」呻いた藤吉、ぐいと濡髪を扱いてみてから、「うむ、若白髪だな、勘、見ろい、これ、手に、墨が落ちるぜ、ふうん、染めてやがったか。
— 怨霊首人形 『釘抜藤吉捕物覚書』 青空文庫