涓滴
涓滴
名詞
標準
文例 · 用例
優善も良三も、共に涓滴の量なくして、あらゆる遊戯に耽ったのである。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫
竜池は涓滴の量だになかった。
— 森鴎外 『細木香以』 青空文庫
ぴしや/\と落ちる涓滴が暫く彼の耳の底を打つた。
— 長塚節 『土』 青空文庫
南はその飛沫を避けて一方の手で長裾にかかった涓滴をはたいた。
— 田中貢太郎 『竇氏』 青空文庫
その頃私は、紅葉、露伴から、漱石、鴎外、一葉、樗牛、独歩、花袋、秋声、白鳥、荷風、潤一郎、三重吉など、実にいろいろなものを読んだが、特に感銘を受けたものを挙げるとすれば、藤村の『破戒』、『春』、『家』といったもの、『即興詩人』とか『涓滴』などの鴎外のものを挙げねばならぬであろう。
— 三木清 『読書遍歴』 青空文庫
」〔心ニ知ル白髪一宵ニ添フルヲ/客路鏡奩ヲ借ルニ由無シ/鉄券何人カ功績ヲ恃マンヤ/黄裳今日爻占ヲ玩ブ/頑雲月ヲ包ミテ山角ニ走リ/急霰風ニ乗リテ帽尖ヲ撲ツ/遺却ス身材ハ襪線ノ如シ/擬ス涓滴ヲ将テ炎炎ヲ救フニ〕 毅堂は時に年四十三。
— 永井荷風 『下谷叢話』 青空文庫
さこそは、さこそは愁き露なりけめ、涙や、しほや、――さはあれ高き愛の涓滴それぞと汝もたのみけむか。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫
さめよ種子、うるほひは充つ、さやかなる音をば聽かずや、流れよる命の小川涓滴のみなもといでぬ。
— 蒲原有明 『獨絃哀歌』 青空文庫