泌々
泌々
名詞
標準
文例 · 用例
ボオドレエルが「技巧論の不可能」となすものが、茲で泌々と思ひ出されるのだと云つておかう。
— 中原中也 『我が詩観』 青空文庫
戦争の感想なぞは、たいそれた……矢ッ張り戦争が済んで一年ぐらい経過してからで無いと言えるもンで無いと云う事を泌々思う。
— 附・戦線便り 『陣中日誌(遺稿)』 青空文庫
」 「ええ」 お半、泌々言う。
— 山中貞雄 『森の石松』 青空文庫
T「俺は巾着切」 と言って、T「あんな堅気の娘さんに……」 と言って、T「俺の様なやくざ者が惚れるのは間違いだ」 泌々と独り言。
— 山中貞雄 『恋と十手と巾着切』 青空文庫
T「淋しいな」 側の半次が相槌打った「淋しゅう厶んしょうね」T「今更、鬼神組と 喧嘩した、あの頃が 懐かしい」 泌々と独り言云う大吉。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
T「仲蔵さんは 立派な腕があるのに 情けない役ばかり 演らされるのね」 と泌々云われて、仲蔵も悲しくなった。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
嘉助、暗然と涙声で、T「仲蔵は、 我子とは思わぬ」 と云って、T「雪枝 そなたもあれを、 兄とは考えるでないぞ」 と云われて、雪枝が涙ぐんで承知して見せると、 老人も泌々、T「わしは、あれの 素晴らしい評判を、 聞くだけで、 もう満足……」 武家気質の老人が淋しい満足です。
— 山中貞雄 『中村仲蔵』 青空文庫
」 細君は泌々と呟くのであつた。
— 牧野信一 『痴日』 青空文庫