脇見
わきみ異読 ぼうし
名詞動詞-サ変多音語
標準
looking from the side
文例 · 用例
「民さんはさっき何を考えてあんなに脇見もしないで歩いていたの」「わたし何も考えていやしません」「民さんはそりゃ嘘だよ。
— 伊藤左千夫 『野菊の墓』 青空文庫
僕は何を云つてゐるのか如何なる錯乱に掠められてゐるのか蝶々はどつちへとんでいつたか今は春でなくて、秋であつたかではあゝ、濃いシロップでも飲まう冷たくして、太いストローで飲まうとろとろと、脇見もしないで飲まう何にも、何にも、求めまい!
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
或る晩、矢張りタンゴを踊っていたのだが、Aは細君が退屈そうに脇見をしている隙を覗って、素早くパアトナーの唇に接吻した。
— ――夫婦哲学―― 『花嫁の訂正』 青空文庫
背中の子供が泣き出したので、トシは紐を解くと今迄私が眠つてゐた隣室の蚊帳の中に寝せて乳をふくませようとするので、私は故意に脇見をして縁側へ出た。
— 牧野信一 『二日間のこと』 青空文庫
打ツかつた以外のものに脇見をしない。
— 牧野信一 『余の倅に就いて』 青空文庫
老女は呼吸をつめてその態をじっと見つめていたが、なんと思ったのかそのまま便所の方へ往き、そして、用を足して引返しながらその室の前を通ったにもかかわらず、今度は脇見もせずに静に己の室へ帰って寝た。
— 田中貢太郎 『猫の踊』 青空文庫
その二人の主要人物については申し分はないが、あとの二十余人の姿は暗い背景の中に溶け込んで、飛道具を持ってる者、鉾を突いてる者、槍を横たえてる者、旗をさし出してる者、太鼓を叩いてる者、それ等が話し合ったり、脇見をしたり、振り返ったり、てんでんまちまちの形で群がって、何をしているのだかわからない。
— 野上豊一郎 『レンブラントの国』 青空文庫
駄夫は直ぐと暗い愚痴話の気勢を察したので、又神経につかまつちやつた――と厭な顔をし、空々しく脇見をし、天井を仰いだり空の工合を窺つて舌打ちしたりしながら、ズボンのボタンをはめ終へると、わざと大袈裟にバタンと転げて安坐をかいた。
— 坂口安吾 『竹藪の家』 青空文庫
標準
looking aside