来宿
らいしゅく
名詞
標準
文例 · 用例
「真実に妙な御縁なのですよ、私は今日、身の上に就て兄に相談があるので、突然に参りますと、妹が小声で大友さんが来宿てるというのでしょう、……」「それじゃア貴女は僕より一汽車後で来たのだ。
— 国木田独歩 『恋を恋する人』 青空文庫
元来宿を出る時この二人は温泉街の夜店飾りの濡灯色と、一寸野道で途絶えても殆ど町続きに斉しい停車場あたりの靄の燈を望んだのを、番傘を敲かぬばかり糸七が反対に、もの寂しいいろはの碑を、辿ったのであったから。
— 遺稿 『遺稿』 青空文庫
二年越しの山籠りの生活を僧都は語ってから、「僧の家というものはどうせ皆寂しい貧弱なものですが、ここよりは少しきれいな水の流れなども庭にはできておりますから、お目にかけたいと思うのです」 僧都は源氏の来宿を乞うてやまなかった。
— 若紫 『源氏物語』 青空文庫
そこへ行くと、新規まき直しの困難はむしろ従来宿役人として上に立った人たち、その分家、その出店なぞの家柄を誇るものの方に多い。
— 第二部下 『夜明け前』 青空文庫
それは――それはじゃ、近来宿題をやらせても大分出来が悪いし、試験をやっても、これまた答案の出来が悪い。
— 海野十三 『新学期行進曲』 青空文庫
「東観漢紀」を示すのではないかと言ふ疑ひは、先哲以来宿題である。
— 折口信夫 『日本書と日本紀と』 青空文庫
◇ 私の家は戦線に近かつたので、兵隊さんが絶えず来宿した。
— 石川三四郎 『馬鈴薯からトマト迄』 青空文庫
正造は旧臘以来宿痾の脳病が思わしくなく、気力が衰え、なんとなく一二カ月のうちに体に異変がありそうな予感に襲われていたため、おのずから思慮がそこへ赴いたのである。
— 大鹿卓 『渡良瀬川』 青空文庫