矢音
やおと
名詞
標準
whistle of an arrow (shooting through the air)
文例 · 用例
とたんに、ヒェーッと絹を裂くような鋭い掛け声が奥の方から沈黙を破って聞こえたかと思うと、シューッ空を切る矢音がして、すぐ小手返る弦の音がピシッと心地よく響き渡った。
— 国枝史郎 『日置流系図』 青空文庫
一歩転じて、堂々と所信を披瀝する時や、相手の所論を強く攻撃する時などには、その女性的な響きが、張り切った鋭い矢音となる。
— 豊島与志雄 『最近の菊池寛氏』 青空文庫
シュッ、シュッ――と、あたりの草むらへも、無数の矢が、矢音をこぼし、矢風に戦ぎ立った。
— 吉川英治 『平の将門』 青空文庫
女どもは、逃げるにまかせい』 矢音が止んだ瞬間に、一学はがらりとそこを開けて躍り出ていた。
— 吉川英治 『新編忠臣蔵』 青空文庫
ああ尾ばな藤ばかますでに色あせ、手にも料紙はおもたくさげられ、夏はやおとろへ、山頂は風に光る。
— 萩原朔太郎 『山頂』 青空文庫
少年雑誌やおとぎ話の本などというもののまだ一つもなかった時代では、こんな粗末な刷り物でも子供には珍しかったのであろう。
— 寺田寅彦 『物売りの声』 青空文庫
円顔のむつちりとした可愛らしい子で、額付が今の菊五郎に似て居たので、おとはやおとはやと呼んで居た。
— 平出修 『二黒の巳』 青空文庫
だから、あるとき、とつぜん門内で、ぎやおぎやおとさわがしい音がしたときには、そら和尚さんの足が痛み出したと思つて、菊次さんは自分の足の痛みも忘れて、立ちあがり、おまけに爪先立ちまでして見たのですが、それは近所ののら犬が境内で喧嘩をしただけのことだとわかつて、菊次さんはがつかりしました。
— 新美南吉 『百姓の足、坊さんの足』 青空文庫
作例 · 標準
遠くから矢音が聞こえ、敵の襲撃が近いことを悟った。
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彼の放った矢は、鋭い矢音を立てて的を射抜いた。
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戦場の静寂を破り、矢音が何度も響き渡った。
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