故紙
こし
名詞
標準
文例 · 用例
『雨月』『春雨』の二草紙はいはばその欲情の血膿を拭つたあとの故紙だ。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
夕空 十一 時に五助は反故紙を扱いて研ぎ澄した剃刀に拭をかけたが、持直して掌へ。
— 泉鏡花 『註文帳』 青空文庫
古人の書画等に対してもまたそうであり、故紙や書物の断片の将に廃棄するところを救い、これを新装し再生するようなことは助長であり、心無く埃まみれに放置し、鼠や虫の害に遭わせたり,濡らしたり焼け焦げを作ったりするようなことは剋殺である。
— 幸田露伴 『努力論(現代訳)』 青空文庫
仏書の故紙を以て装修せしにはあらず。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
松田氏の精確なる記性と明快なる論断とが微つたなら、わたくしは或は一堆の故紙に性命を嘘き入るゝことを得なかつたかも知れない。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
さっき見て僕もちょいと驚ろいたが、こら」 彼はごたごたした故紙の中から、何の雑作もなく一枚の書付を取り出した。
— 夏目漱石 『道草』 青空文庫
彼らが貴重なる十年二十年を挙げて故紙堆裏に兀々たるは、衣食のためではない、名聞のためではない、ないし爵禄財宝のためではない。
— 夏目漱石 『野分』 青空文庫
その下から又、薄板の隔膜と反故紙の腸があらわれた。
— 夢野久作 『微笑』 青空文庫