妄信
もうしん
名詞
標準
文例 · 用例
想うにこれらは権威者の罪というよりはむしろ権威者の絶対性を妄信する無批判な群小の罪だと考えなければなるまい。
— 寺田寅彦 『科学上における権威の価値と弊害』 青空文庫
これを誤解すれば、物理学を神の掟のように思って妄信してしまうか、さもなくば反対に物理学の価値を見損なって軽侮してしまうかの二つに一つである。
— 寺田寅彦 『物理学実験の教授について』 青空文庫
ありきたりの言葉、ありきたりのスタイルを以てしても、過不足なく描写出来たと思い込んでしまうのは、自分の人間観察力に与える秩序の正しさを過信しているからだろうか、小説作法の約束というものへの妄信からだろうか。
— 織田作之助 『土曜夫人』 青空文庫
証明のできない言明を妄信するのも実はやはり一種の迷信であるとすれば、干支に関するいろいろな古来の口碑もいつかはまじめに吟味し直してみなければならないと思われるのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
この時代の人例を挙げていることも出来ないが、大概日本人の妄信はこの時代に※醸し出されて近時にまで及んでいるのである。
— 幸田露伴 『魔法修行者』 青空文庫
祠竈の事は古より存したのだが、蓋し少君の頃より漸く其祠祭の精神に變化を致して、後の竈君崇祠の妄信を生ずるに至つたらしい。
— 幸田露伴 『道教に就いて』 青空文庫
一方には又別派の術、今日のメスメリズム、ヒプノチズムの如きことか、或は詐術を以て齊の少翁は武帝の亡き美人李夫人及び竈鬼を武帝の眼前に現はして、神に通ずること能くすべしといふ妄信を起させ、大に帝の尊信を得た。
— 幸田露伴 『道教に就いて』 青空文庫
少くとも多くの人は貧乏が大嫌いで、その嫌いなものが生憎|附纏って来るので困苦しているのだから、貧即不幸なんぞという妄信ぐらいは除却するようにしたいものだ。
— 幸田露伴 『貧富幸不幸』 青空文庫