洋杖
すてっき
名詞
標準
文例 · 用例
――塩で釣出せぬ馬蛤のかわりに、太い洋杖でかッぽじった、杖は夏帽の奴の持ものでしゅが、下手人は旅籠屋の番頭め、這奴、女ばらへ、お歯向きに、金歯を見せて不埒を働く。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
男が先に、気取って洋杖なんかもって――あれでしょう。
— 泉鏡花 『貝の穴に河童の居る事』 青空文庫
糸七は其のまゝ人格しやの例に習つた、が、按摩でないだけに、姿勢は渠と反對に道を前にして洋杖を膝に取つた、突出しては通る人の裳を妨げさうだから。
— 泉鏡花 『遺稿』 青空文庫
)帽子を目深に、オーバーコートの鼠色なるを被、太き洋杖を持てる老紳士、憂鬱なる重き態度にて登場。
— 泉鏡花 『紅玉』 青空文庫
第一、順と見えて、六十を越えたろう、白髪のお媼さんが下足を預るのに、二人分に、洋杖と蝙蝠傘を添えて、これが無料で、蝦蟇口を捻った一樹の心づけに、手も触れない。
— 泉鏡花 『木の子説法』 青空文庫
」 と、外套は、洋杖も持たない腕を組んだ。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
山の陰気な影をうけて、凄いような色の白いのが、黒の中折帽を廂下りに、洋杖も持たず腕を組んだ、背広でオオバアコオトというのが、色がまた妙に白茶けて、うそ寂しい。
— 泉鏡花 『唄立山心中一曲』 青空文庫
」 黒塀を――惚れた女に洋杖は当てられない――斜に、トンと腕で当てた。
— 泉鏡花 『燈明之巻』 青空文庫