癘
癘
名詞
標準
文例 · 用例
疫癘流行の事實の如きは擱いても、智勇善良の人士の損耗は、斷えず疾病の爲に促されて、そして常に社會は大不幸を受けて居るのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
瘴癘の氣の多い卑※地に入つて病を得、沮洳の地に遊んで瘧を得たり、水邊に長坐してレウマチスを得たりするが如きは、公務ででもあらば是非も無いが、さも無ければ自ら招いたと云はれても是非が無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
然無ければ洪水も噴火も疫癘も、印判で捺したやうに三十年目六十年目に屹度來るやうになる次第で無ければならぬが、實際は蓋し其の通りでは無い。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
牧者は久しくこゝに住ひて、この焦れたる如き草を見、この熱き風に吹かれ、こゝに行はるゝ疫癘に苦められたれば、唯だあしき方、忌まはしき方のみをや思ふらん。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
夜はおどろくべきことあり昼はとびきたる矢あり幽暗にはあゆむ疫癘あり日午にはそこなう激しき疾ありされどなんじ畏ることあらじ 法水はそれを小声で口誦みながら、讃詠と同じ葬列のような速度で歩んでいたが、しかし、その音色は繰り返す一節ごとに衰えてゆき、それとともに、法水の顔にも憂色が加わっていった。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
ここへは、米国コロンビア大学の薬学部長ラマビー博士一行が探検したが、ついに瘴癘湿熱の腐朽霧気地帯から撃退されている。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
しかし、瘴癘の湿地からのがれてほっとしたかと思えば、ここは一草だにない焦熱の野である。
— 有尾人 『人外魔境』 青空文庫
致仕した後に、力を述作に肆にしようと期していたのに、不幸にして疫癘のために命を隕し、かつて内に蓄うる所のものが、遂に外に顕るるに及ばずして已んだのである。
— 森鴎外 『渋江抽斎』 青空文庫