松火
しょうか
名詞
標準
文例 · 用例
と見ると、竜宮の松火を灯したように、彼の身体がどんよりと光を放った。
— 泉鏡花 『海の使者』 青空文庫
小さな松火は真暗な中に、火鉢の前に、壁の隅に、手拭の懸った下に、中腰で洋燈の火屋を持ったお雪の姿を鮮麗に照し出した。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
二十餘の松火が薄暗がりに竹槍を照らして一種物凄しい光を放つのである。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
衆は十間程引下つて、竹槍の列を立て松火を振つて靜々と進みゆくのである。
— 伊藤左千夫 『古代之少女』 青空文庫
洞の裡なる暗き道に、我等を導きてくゞり入り、燃ゆる松火を、絶えず石壁に振り當てたる僧、深き池の水の、鏡の如く明にて、目の前には何もなきやうなれば、その足もとまで湛へ寄せたるを知らむには、松火もて觸れ探らではかなはざるほどなる、いづれもわが空想を激したりき。
— IMPROVISATOREN 『即興詩人』 青空文庫
さうして松火さへも持たなかつた自分は其時崖から墜落した。
— 長塚節 『しらくちの花』 青空文庫
それでなくても、空気が新鮮でないために、妙に息苦しく、もしこの際|松火を使ったとしたら、それは、輝かずに燻ぶり消えるだろうと思われた。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
加えて寒さも厳しい、夜がほのぼのと明るく松火はいつか消えてしまった。
— 吉江喬松 『木曾御嶽の両面』 青空文庫