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松杉

しょうさん
名詞
1
標準
文例 · 用例
ひツそとなりて、堂の裏崖をさかさに落つる滝の音どうどうと松杉の梢ゆふ風に鳴り渡る。
泉鏡花 竜潭譚 青空文庫
各名にそぐえる姿、鼓の緒の欄干に、あるいは立ち、あるいは坐て、手に手に五色の絹糸を巻きたる糸枠に、金色銀色の細き棹を通し、糸を松杉の高き梢を潜らして、釣の姿す。
泉鏡花 天守物語 青空文庫
ここ嶮峻なる絶壁にて、勾配の急なることあたかも一帯の壁に似たり、松杉を以て点綴せる山間の谷なれば、緑樹|長に陰をなして、草木が漆黒の色を呈するより、黒壁とは名附くるにて、この半腹の洞穴にこそかの摩利支天は祀られたれ。
泉鏡花 妖僧記 青空文庫
上野の山の松杉の遠く真白な中から、柳が青く綾に流れて、御堂の棟は日の光紫に、あの氷月の背戸あたり、雪の陽炎う幻の薄絹かけて、紅の花が、二つ、三つ。
泉鏡花 薄紅梅 青空文庫
社内にも松杉がおい茂っていて、夏なんぞは蝉の声がそうぞうしい位です。
正雪の絵馬 半七捕物帳 青空文庫
秋やや老いて凩鳴りそむれば物さびしさ限りなく、冬に入りては木の葉落ち尽くして庭の面のみ見すかさるる、中にも松杉の類のみは緑に誇る。
国木田独歩 青空文庫
けれども峰を横倒しに戸口に挿込んだように、靄の蔓ったのが、頭を出して、四辺は一面に濛々として、霧の海を鴉が縫うように、処々、松杉の梢がぬっと顕れた。
泉鏡花 星女郎 青空文庫
其処へ、ちらちらと真紅な緋葉も散れば、色をかさねて、松杉の影が映します。
泉鏡花 菊あわせ 青空文庫