腋下
えきか
名詞
標準
文例 · 用例
腋下に颯と冷汗流れて、襦袢の背はしとゞ濡れたり。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
すなわち腕を、横から大廻しに廻して殴るよりは腋下からピストンのようにまっすぐに突きだして殴ったほうが約三倍の効果があるということであった。
— 太宰治 『ロマネスク』 青空文庫
かねてより命じけむ、夜叉羅刹は猶予わず、両個一斉に膝を立てて、深川夫人の真白き手首に、黒く鋭き爪を加えて左右より禁扼、三重襲ねたる御襟を二個して押開き、他目に触らば消えぬべき、雪なす胸の乳の下まで、あらけなく掻あくれば、綾子は顔を赧めつつ、悪汗津々腋下に湧きて、あれよあれよと悶えたまう。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
と、波が横から潰されて、ほとんど腋下に及ぶほどの高さになってしまう。
— 小栗虫太郎 『黒死館殺人事件』 青空文庫
舌上に竜泉なく、腋下に清風を生ぜざるも、歯根に狂臭あり、筋頭に瘋味あるをいかんせん。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
ヴァイオリンを温かに右の腋下に護りたる演奏者は、ぐるりと戸側に体を回らして、薄紅葉を点じたる裾模様を台上に動かして来る。
— 夏目漱石 『野分』 青空文庫
」「へえ、雛児を盗んでるつて毎日……」と友達は大事さうに紙包を左の腋下に持ち替へながら、可笑しさうに首を振つた。
— 大正五(一九一六)年 『茶話』 青空文庫
月丸は、処女らしい、滑らかな肌、暖かすぎるぐらいに暖かい肌、汗ばんでいる肌に、興奮を感じながら、深雪が脇差を落すと共に、左の腋下へ、素早く手を廻して、背から、抱き込んだ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫