矮草
矮草
名詞
標準
文例 · 用例
その岩塊の頭を包むヴェールのように灰砂の斜面がなめらかにすそを引いてその上に細かく刺繍をおいたように、オンタデや虎杖やみね柳やいろいろの矮草が散点している。
— 寺田寅彦 『小浅間』 青空文庫
雪渓に高山植物を摘み、火口原の砂漠に矮草の標本を収めることも可能である。
— 寺田寅彦 『日本人の自然観』 青空文庫
「それは結構、つまり、なにも仰しゃらないというわけだ、文句はない、云うだけの値打もない、おい待って呉れ、ちょっと足袋の中の砂を払うから」 道は矮草帯へぬけ、さらに裸の砂と岩地にかかった。
— 山本周五郎 『新潮記』 青空文庫
そしてなにか捜し求めるように周囲を眺めまわしていたが、ふと身をかがめて、枯れた矮草の中から小さな木片で作った立札のような物を拾いあげた、点々と土にまみれた方二寸ばかりの、白いペンキ塗りの剥げかかった表に、「また逢う日まで」と小さく書いた字が読める。
— 山本周五郎 『花咲かぬリラ』 青空文庫