猫族
ねこぞく
名詞
標準
文例 · 用例
時に猫族のもつあのすばらしい原始の本然のすがたを抹殺し、しかも猫の妙に誇張された特徴をしつかり掴んではゐるが、これは明かに彼の觀念の下郎に過ぎない。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
わが「青猫」はふしぎに原始的な生物で、つねに、本然の奇妙なすがたをした猫族で、常にわれわれが見る猫の姿とは、はるかに異なる、しかもより眞實なる猫の本體である。
— 萩原朔太郎 『定本青猫』 青空文庫
おそらくあらゆる猫族の特性を最も顕著に備えた、言わば最も猫らしい猫の中の雌猫らしい雌猫であるかもしれない。
— 寺田寅彦 『子猫』 青空文庫
白君は涙を流してその一部始終を話した上、どうしても我等|猫族が親子の愛を完くして美しい家族的生活をするには人間と戦ってこれを剿滅せねばならぬといわれた。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
それにこの人目を忍んで間食をするという癖は、何も吾等猫族に限った事ではない。
— 夏目漱石 『吾輩は猫である』 青空文庫
一八 雪之丞が、手の裏を返すように、折れて出たのを見ると、三郎兵衛は、ニヤリと猫族に似た白い歯を現して、「そうじゃ、そうじゃ、そのように物わかりがよう無うては、芸人はなかなか出世がなりませぬ。
— 三上於菟吉 『雪之丞変化』 青空文庫
石畳がひいやりとして気持がいゝのか、猫族の匂ひがして、何か黒い生物がモゴモゴと石道を這つてゐた。
— 林芙美子 『瑪瑙盤』 青空文庫
しかし時には、私が制作三昧の境にひたりきっている午後を、突然のけたたましい猫族の叫声と、目の前をサッと走るいくつかの素速い動物の巨きな影に思わずハッとなり絵筆を止めさせられることがあります。
— 上村松園 『画室談義』 青空文庫