苟
苟
名詞
標準
文例 · 用例
吾輩は固より此集の歌を好まないけれど、此集の如き歌が明治の詞壇に存在する事を苟にも拒みやしない。
— 伊藤左千夫 『『悲しき玩具』を読む』 青空文庫
数年経って「外来語所感」を発表したこのごろは、外囲の事情が全く反対になってしまって、ある読者には私が現時流行の日本主義に阿諛苟合するかのような感を与えたかも知れない。
— 九鬼周造 『伝統と進取』 青空文庫
下樣の繩暖簾とはことかはりて、醉うても聞き苦しきいさかひはなけれど、苟めの物語も高聲になり、默してやみなんことも笑ひさざめき、座中自ら春を生ずる自らはよけれど、他人の閑を破るはにくし。
— 萩原朔太郎 『花あやめ』 青空文庫
ユーモアを虐待することと、人格者であるといふことと、平和と苟安とは同義で通用する日本の、そして帝都は彼の育つた雰囲気であつた。
— 中原中也 『夭折した富永』 青空文庫
厚化粧の亡霊等は苟安の中に百鬼夜行する。
— 中原中也 『生と歌』 青空文庫
この頃の冗漫弛緩の筆を徒らに伸ばしたやうな、所謂勞作を見れば見る程、その一字一句も苟しない氏の創作的態度に頭が下らずには居られません。
— 南部修太郎 『三作家に就ての感想』 青空文庫
鬱し怒れる音調|以て、「愛想の尽きた獣だな、汝、苟くも諸生を教へる松川の妹でありながら、十二にもなつて何の事だ、何うしたらまたそんなに学校が嫌なのだ。
— 泉鏡花 『妖怪年代記』 青空文庫
』 苟くも未来の有無を賭博にするのである。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫