蠧
蠧
名詞
標準
文例 · 用例
するといくらか気が静まって来て、小粒に光りながら緩んだ綴目の穴から出て本の背の角を匍ってさまよう蠧魚の行衛に瞳を捉えられ思わずそこへ蹲まった。
— 岡本かの子 『宝永噴火』 青空文庫
※蠧の害に遇つて枯死に垂んたる樹が有るとすれば、之を藥療して復活蘇生せしむるのも亦植福である。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
一卷の蠧書に眼睛を瞎卻されて、白首皓髯、猶机を離れずといふやうではならぬ。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
で、聞いて居る話も、蠧が物を蝕つたやうに、ところ/″\ウロ拔けがしたものになるのであるから、首尾貫通前後相應したものとなつて、明瞭に我が心頭に受取り終る事が出來ぬのである。
— 幸田露伴 『努力論』 青空文庫
蠧蝕の処が少しあるが、幸に文字を損ずること甚しきに至つてゐない。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
此所には蠧蝕は無い。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
今志保の生後百十余年にして、これを蠧冊の中に求めむは、その難かるべきこと固である。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
加へて深刻なる音楽の重圧と残虐なる感情の蠧惑とを弥が上に圧し出してくれる事。
— 愛の詩集のはじめに 『愛の詩集』 青空文庫