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素襖

すおう
名詞
1
標準
文例 · 用例
大抵能楽の間の狂言を模し、衣裳は素襖、上下、熨斗目を用い、科白には歌舞伎狂言、俄、踊等の状をも交え取った。
森鴎外 渋江抽斎 青空文庫
春永の前に平伏する時、見物の気の附かぬ位鉄扇の方へゐざり寄つて、平伏ししなに素襖の袖で鉄扇を掻き寄せればわけはない。
森鴎外 伊沢蘭軒 青空文庫
「点ならござれ即点に、素襖の柿のへたながら、大刀の切字や手爾遠波を、正して点をかけ烏帽子、悪く謗らば片つはし、棒を背負つた挙句の果、此世の名残執筆の荒事、筆のそつ首引つこ抜き、硯の海へはふり込むと、ほゝ敬つて白す。
森鴎外 細木香以 青空文庫
銅像や写真でおなじみの、素襖をきて大太刀をはいた姿――あれに魂がはいって揚幕から花道にゆるぎ出た時、さらに花道の七三に坐って、例の“東夷西戎南蛮北狄”の長台詞を朗々たる名調子で淀みなくつらねた時、わたしは満場の観客と共に、ただ酔ったような心持になっていた、と言うに過ぎない。
岡本綺堂 明治劇談 ランプの下にて 青空文庫
狂言は一番目「春日局」、中幕「素襖落」、二番目「駒形おせん」で、団十郎は一番目だけに登場し、春日局と徳川家康の二役に扮した。
岡本綺堂 明治劇談 ランプの下にて 青空文庫
さて褒美に賜はりし素襖をいたく秘めかくさんとして、酔へるあまりに取落ししを主人に拾ひかくされ、あわてて捜しまはると云ふ筋なり。
三木竹二 両座の「山門」評 青空文庫
風俗研究会江馬務君の葵祭解説記するところによると、現時の行列には先頭に騎馬の警部が三人、次に素襖の侍が二人、次に看督長代が四人、次に騎馬の検非違使志代、これには調度掛、童、放免が各一人、火長代が二人、如木が四人、白丁が三人従っている。
喜田貞吉 放免考 青空文庫
しかるにその先にさらに素襖の侍体のもののついているのは、おそらく室町時代において、検非違使の参列がもはや単に形式にのみ流れて、警固の実務に当るに足らなくなったが為に、別に当時の武士をして、二重にこれを護衛せしむるに至ったとの名残と察せられる。
喜田貞吉 放免考 青空文庫