独笑
どくわらい
名詞
標準
文例 · 用例
六蔵ニヤニヤと独笑して、「お寝間のお伽もまけにしてと――姉さん、真個かい、洒落だぜ洒落だぜ洒落じゃねえ。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
この、笠ぐるみ振分けを捲り手の一方へ、褌も見える高端折、脚絆ばかりの切草鞋で、片腕を揮ったり、挙げたり、鼻の下を擦ったり、べかこと赤い目を剥いたり、勝手に軒をひやかして、ふらふらと街道を伸して行くのが、如何にも舞台馴れた演種に見えて、巽はうかうか独笑してその後に続いたのである。
— 泉鏡花 『浮舟』 青空文庫
この話を早く聞かせたい、妻の意見も聞いて見たい、こんなことを思っているとそとででも独笑が出ますし、一人で涙ぐまれもします。
— 帚木 『源氏物語』 青空文庫
しかしいくら試みても光った銀貨が落ちないのを知ると白痴のようににったりと独笑いを漏していた。
— 有島武郎 『カインの末裔』 青空文庫
朝日の吸殻を、灰皿に代用している石決明貝に棄てると同時に、木村は何やら思い附いたという風で、独笑をして、側の机に十冊ばかり積み上げてある manuscrits らしいものを一抱きに抱いて、それを用箪笥の上に運んだ。
— 森鴎外 『あそび』 青空文庫
得も謂はれぬその仇無さの身に浸遍るに堪へざる思は、漫に唯継の目の中に顕れて異き独笑となりぬ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
三十余りの姿の好い女は何か独笑をして石段から隠れて行つた。
— 與謝野寛、與謝野晶子 『巴里より』 青空文庫
彼はまた、ククク……と独笑いをした。
— 豊島与志雄 『古井戸』 青空文庫