蠢々
蠢々
名詞
標準
文例 · 用例
「私も秋へなり、蠢々とうごき出候而状ども認候、御内上様、おさよどのへ宜奉願上候、(中略)江戸は今年気候不順に御坐候よし、御病気いかゞ御案じ申候。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
二等よりもより雑然たる諸相の中から、湧き出る、溢れ出る、転がり出る、飛び出る、それらの如く、蠢々として、哀々として、莞爾として、突兀として、二人三人五人の青年たちがむくりむくりと起き上って来た。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
蠢々として御玉杓子のごとく動いていたものは突然とこの底のない坑のうちに落ちて、浮世の表面から闇の裡に消えてしまった。
— 夏目漱石 『趣味の遺伝』 青空文庫
闇々たる石窟に蠢々として動き、食満々と与えざれば、身心|※骨と衰えたり。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
逓信省内には、大学を出たての若い学士連が虫のやうに蠢々してゐる。
— 大正六(一九一七)年 『茶話』 青空文庫
無数の蠢々たる生物ありて我等の胸間より発する燦爛の光に仰ぎ入れるあらむ。
— 石川啄木 『閑天地』 青空文庫
詳に人間生活の状態を観よ、蠢々※々として、何のおもしろみもなく、何のをかしみもなきに似たれど、其実は、個々特種の快楽を有し、人々異様の慰藉を領するなり。
— 北村透谷 『明治文学管見』 青空文庫
此塊のある間は、何時まで立つても胸が晴れぬ、朝も昼も晩も夜も四六時中同じ所に同じ塊が蠢々として居る。
— 加能作次郎 『厄年』 青空文庫