遅れ馳せ
おくればせ
名詞
標準
文例 · 用例
それから桜痴居士は自作の脚本「向井将監」の本読みをすることになったが、その頃になって歌舞伎座の仕切場に出ている甲子屋萬蔵というのが遅れ馳せに出席した。
— 岡本綺堂 『明治劇談 ランプの下にて』 青空文庫
幾分はお追従もまじっているであろうが、若旦那の勘平をぜひ拝見したいというので、この前の幕があく頃から遅れ馳せの見物人がだんだんに詰めかけて来た。
— 勘平の死 『半七捕物帳』 青空文庫
「遅れ馳せに来た松浦からな」「どんな兵器かな?
— 国枝史郎 『神州纐纈城』 青空文庫
」 遅れ馳せに駈けつけた刑事は息せき切って斯う言った。
— 牧逸馬 『上海された男』 青空文庫
私も遅れ馳せに駈けつけてみましたが、鳴呼これは一体どうしたというのでしょう。
— 海野十三 『崩れる鬼影』 青空文庫
四 警視庁への打電、近県への非常線、遅れ馳せ乍ら谷村署ではあらゆる方法を講じたが赤井の消息は知れなかった。
— ―破獄の志士赤井景韶― 『国事犯の行方』 青空文庫
その時もし廉州先生が、遅れ馳せにでも来なかったなら、我々はさらに気まずい思いをさせられたに違いありません。
— 芥川龍之介 『秋山図』 青空文庫
説経は尚暫く、琵琶を守つてゐる間に、時代に残されて、遅れ馳せに三味線に合せたと見ればよい。
— 熊本利平氏に寄す 『雪の島』 青空文庫