鍵形
かぎがた
名詞
標準
文例 · 用例
全く、お前のゴムのやうな腹部の白い皮膚をメスの銀色の刄が鍵形にすつと撫でて行く、丁度チキンの肉を裂きでもするやうに‥‥‥。
— 南部修太郎 『疑惑』 青空文庫
「真黒な円い天窓を露出でな、耳元を離した処へ、その赤合羽の袖を鯱子張らせる形に、大な肱を、ト鍵形に曲げて、柄の短い赤い旗を飜々と見せて、しゃんと構えて、ずんずん通る。
— 泉鏡花 『朱日記』 青空文庫
好い心持に眠気がさすと、邪魔な灯を肱にかけて、腕を鍵形に両手を組み、ハテ怪しやな、汝、人魂か、金精か、正体を顕せろ!
— 泉鏡花 『草迷宮』 青空文庫
それは空中を鍵形に区切り、刃型に刺し、その区切りの中間から見透す空の色を一種の魔性に見せながら、その性全体に於ては茫漠とした虚無を示して十年の変遷のうちに根気よく立っている。
— 岡本かの子 『かの女の朝』 青空文庫
無意識に今|掴んだのは、ちょうど折曲げた真白の肱の、鍵形に曲った処だったので、「しゃっちこばッたな、こいつあ日なしだ。
— 泉鏡花 『葛飾砂子』 青空文庫
ところが検疫医がこれなんだ」 事務長は朋輩にでも打ち明けるように、大きな食指を鍵形にまげて、たぐるような格好をして見せた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
その右手の頑丈な踏み心地のいい階子段をのぼりつめると、他の部屋から廊下で切り放されて、十六畳と八畳と六畳との部屋が鍵形に続いていた。
— 有島武郎 『或る女』 青空文庫
感激した時の癖として、園はその樹を見るごとに、右手を鍵形に折り曲げて頭の上にさしかざし、二度三度物を打つように烈しく振り卸ろすのだった。
— 有島武郎 『星座』 青空文庫