勾引し
かどわかし
名詞
標準
kidnapper
文例 · 用例
この四ヵ月近くの月日は、これ程までにわたくしを、少女の世界から大人の世界の女に勾引し去ったのでしょうか。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
ある日私は彼を勾引し、拒む彼を私の人力車に乗せて写真師のところへつれて行き、彼の最初にして唯一の写真をとらせた。
— 日本その日その日 『日本その日その日』 青空文庫
けど刑事かってそれぐらいなこと分ってますよって、その夫婦もん怪しいと睨んで勾引したんやそうですが、その時枕もとの乱れ籠に入れてあった光子さんと綿貫の着物着て、そのまま警察い連れて行かれた。
— 谷崎潤一郎 『卍(まんじ)』 青空文庫
かれらは一種のかどわかしで、身分のありそうな武士や女に化けて来て、容貌のいい娘をさらって行ったに相違ない、と半七は鑑定した。
— 奥女中 『半七捕物帳』 青空文庫
一旦かどわかされた娘をようよう連れ戻して来たところ、その悪者どもが付けて来て、再びかどわかして行ったのであろうということにすれば、こちらに油断の越度があったにもせよ、世間からは気の毒だと思われないこともない。
— 岡本綺堂 『鼠』 青空文庫
坂町の伊豆屋の女房をかどわかして何処へやった。
— 二人女房 『半七捕物帳』 青空文庫
この善兵衛というのは叔父と同じ年ごろで、表向きは堅気の商人のように見せかけながら、半分はごろつきのような男であったそうですから、女をかどわかしたりすることには馴れていたのかも知れません。
— 岡本綺堂 『蜘蛛の夢』 青空文庫
かどわかしは重罪である。
— 青山の仇討 『半七捕物帳』 青空文庫
作例 · 標準
江戸の町を震撼させている勾引しは、菓子で子供を誘い出し、人混みに紛れて忽然と姿を消すという。
「知らない人についていってはだめだよ。勾引しに連れて行かれたら二度とお母さんに会えなくなるよ」と、母は幼い娘の手を強く握りしめた。
奉行所の調べにより、男が借金の返済に窮して良家の令嬢を連れ去った、卑劣な勾引しであることが明らかになった。
街道沿いの茶屋にいた旅人が、一瞬の隙を突かれて幼い連れ子を勾引しに攫われたという。