臍の緒
へそのお
名詞
標準
文例 · 用例
故郷や臍の緒に泣く歳の暮 生涯を旅に暮した芭蕉も、やはり故郷のことを考え、懐かしく追懐していたのである。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
「臍の緒に泣く」という言葉は奇警であって、しかも幼時の懐かしい思い出や、父母の慈愛深い追懐やが、切々と心情から慟哭的に歌われている。
— 萩原朔太郎 『郷愁の詩人 与謝蕪村』 青空文庫
神経的、或は潔癖精神的に幻想のげにも脆い臍の緒を掴へることによつて、心境の一断想を歌ふばかりである。
— 中原中也 『音楽と世態』 青空文庫
伝馬への本船からの臍の緒のごとき役を努めていた綱は今一方はずされ、どちらも延ばされた。
— 葉山嘉樹 『海に生くる人々』 青空文庫
うゝとも、すうとも返答打つ術もねえだ…私、先生と言はれるは、臍の緒切つては最初だでね。
— 泉鏡太郎 『神鑿』 青空文庫
巾着の中には戸籍抄本と子供の臍の緒が入っていました。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
もう一包の中に臍の緒をくるんだ紙包にわたくしの生れた年月日が書いてあり、その上を更に包んである一枚の紙には幼ない筆つきで朝顔の絵が描いてあり、その肩には甲上と評点がついています。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫
ですがわたくしには、母が何でわたくしに臍の緒を包む包紙にわたくしの幼ない時分の学校の成績を取って遺して置いたか不審がられます。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫