鉄色
てついろ
名詞
標準
reddish-black
文例 · 用例
其処へやつて来た此の鉄色がかつた栗色の肌の牧野信一は、部屋に這入るなり進みもしないで坐つた。
— 中原中也 『思ひ出す牧野信一』 青空文庫
朝食が済んだ後で、霧がはれて、海がギラギラ青い鋼鉄色に煌きはじめると、二組の夫婦はそろって海水浴に出かけた。
— ――夫婦哲学―― 『花嫁の訂正』 青空文庫
真中に鉄色のふっくりした座布団が二つ、金蒔絵をした桐の丸胴の火鉢、床の間には白|孔雀の掛け物と大きな白|牡丹の花活けがしてあって、丸い青銅の電気ストーブが私の背後に真赤になっていた。
— 夢野久作 『あやかしの鼓』 青空文庫
それは仕事にかかったが最後、昼夜ブッ通しに、血も涙もない鋼鉄色の瞳をギラギラさせる、無学な、醜怪な老職工だからであった。
— 夢野久作 『怪夢』 青空文庫
兎はさつそく泥をこねて、所謂岩乗な、いい舟の製作にとりかかり、狸は、すまねえ、すまねえ、と言ひながらあちこち飛び廻つて専ら自分のお弁当の内容調合に腐心し、夕風が微かに吹き起つて湖面一ぱいに小さい波が立つて来た頃、粘土の小さい舟が、つやつやと鋼鉄色に輝いて進水した。
— 太宰治 『お伽草紙』 青空文庫
空の肌質はいつの間にか夕日の余燼を冷まして磨いた銅鉄色に冴えかかっていた。
— 岡本かの子 『金魚撩乱』 青空文庫
能の当日になると、夏ならば生|帷子の漆紋(加賀梅鉢)に茶と黄色の細かい縦縞、もしくは鉄色無地の紬の仕舞袴。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
光雲神社の祭能の時は拝領の藤巴の紋の付いた、鉄色の紋付に、これも拝領物らしい、茶筋の派手な袴を穿いている事もあった。
— 夢野久作 『梅津只圓翁伝』 青空文庫
作例 · 標準
深い鉄色の空が、嵐の到来を予感させた。
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彼女は鉄色の落ち着いた着物を好んで着る。
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その古びた壺は、長い年月を経て鉄色に変化していた。
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