襦絆
襦絆
名詞
標準
文例 · 用例
「御同様、」と半襦絆に馬乗袴は膝をすすめ、「それがしも、ただいま、二、三杯つづけさまに飲み、まことに変な気持で、このさきどうすればよいのか、酒の酔い方を忘れてしまいました。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
他の客も、そのままではすまされなくなり、次に大竹が立って縫紋の夏羽織をふるい、半襦絆を振って、それから馬乗袴を脱いで、ふんどしをしていない事を暴露し、けれどもにこりともせず、袴をさかさにしてふるって、部屋の雰囲気が次第に殺気立って物凄くなって来た。
— 太宰治 『新釈諸国噺』 青空文庫
ほんとうは、私の襦絆の袖ならメリンスでいいと思ったのですけど、紅い色が這入っているのでいけないと思って、よくないけれど更紗を買って来てつくったのよ。
— ――獄中手記―― 『何が私をこうさせたか』 青空文庫
彼女は伊達巻だけの姿だったが、粗い十字を浮かした大島の着物に、長襦絆のしっとりした縮緬の半襟で、鬢の毛には櫛の歯跡が清楚に見えた。
— 豊島与志雄 『波多野邸』 青空文庫
「よしわかった、こっちはいいから襦絆をひと濯ぎして置いて呉れ」 こう云って下女を返したとき、そこの杉戸が明いて風呂場の中から出て来た者がある。
— 山本周五郎 『新潮記』 青空文庫