黄染
おうせん
名詞
標準
文例 · 用例
人足繁き夕暮の河岸を、影のように、すたすたと抜けて、それからなぞえに橋になる、向って取附の袂の、一石餅とある浅黄染の暖簾を潜って、土間の縁台の薄暗い処で、折敷装の赤飯を一盆だけ。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
万葉集に『沖つ国知らさむ君が染め棺、黄染めの棺神の海門渡る』とあるのは、黄に染めた柩が浪のままに流れて往く水葬の光景を詠じたものである。
— 中山太郎 『本朝変態葬礼史』 青空文庫
ここで、「榛原」は萩でなしに、榛の木原で、その実を煎じて黒染(黄染)にする、その事を「衣にほはせ」というのだとする説が起って、目下その説が有力のようであるが、榛の実の黒染のことだとすると、「入りみだり衣にほはせ」という句にふさわしくない。
— 斎藤茂吉 『万葉秀歌』 青空文庫
刀の下緒ぢやなし、前掛の紐ぢやなし、ひどく新しいが――」 平次は萠黄染料の匂ひを嗅ぎ乍らそんな事を言ふのでした。
— 二人濱路 『錢形平次捕物控』 青空文庫
頭蓋骨は特異な状態だった――黄染し、頭頂部には焦げた穴が開いていて、あたかも何か強力な酸が硬い骨を溶かして食い込んだようだった。
— H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft 『闇をさまようもの』 青空文庫
刀の下緒じゃなし、前掛けの紐じゃなし、ひどく新しいが――」 平次は萌黄染料の匂いを嗅ぎながらそんな事を言うのでした。
— 二人浜路 『銭形平次捕物控』 青空文庫
習慣的な喫煙のためうっすら黄染した白い口ひげが怒りに捻れた。
— H・ビーム・パイパー H. Beam Piper 『最愛の君』 青空文庫