狭斜
きょうしゃ
名詞
標準
文例 · 用例
当時流行の気質本を読み、狭斜の巷にさすらひ、すまふ、芝居の見物に身を入れたはもとよりである。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
」 緑雨の作物を読むと、彼れは夙くから一廉の狭斜通であつたらしく想像されるが、身銭を切つて屡々遊ぶ余裕のあつたとも思はれぬ彼れであつたから、それは、主として老通人で、『今日新聞』といふを発行してゐた小西義敬に愛され、其配下に雑報記者となり、花柳遊びのお侶役を兼ねてゐた結果であつたらうと推測される。
— 坪内逍遙 『斎藤緑雨と内田不知菴』 青空文庫
それは俗に「コックリ様」と称した table-turning が初めてわが国へ持込まれた時なので、さういふ物に真先きに魅惑を感ずるのが狭斜の習ひだから、座興かた/″\其宴席へ例の三脚と円盤とが持出された。
— 坪内逍遙 『斎藤緑雨と内田不知菴』 青空文庫
服部南郭の昔俗謡を翻した所で、当時猶狭斜の盛を見ることが出来たであらう。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
周覧は狭斜に出入し、悪疾に染まつて聾になり、終に父に疎んぜられた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
当時の狭斜の事蹟に精しい人の教を待つ。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
天野は身分が幕府の同心で、常に狭斜に往来するものであつた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
庇の低い混雑した店屋が暫し続いたかと思ふと、今度は高い塀のやうなものがあらはれて、それがずつと狭斜らしい感じのする巷路へと入つて行つた。
— 田山録弥 『一室』 青空文庫