不覚の涙
ふかくのなみだ
名詞
標準
crying in spite of oneself
文例 · 用例
頑固親爺が不幸むすこを折檻するときでも、こらえこらえた怒りを動作に移してなぐりつける瞬間に不覚の涙をぽろぽろとこぼすのである。
— 寺田寅彦 『自由画稿』 青空文庫
さう思ふといぢらしくなつて、その文反古の上に、不覚の涙さへこぼした。
— 岡本かの子 『上田秋成の晩年』 青空文庫
場合によって非常に悲惨な境遇に陥った罪人とその親類とを、特に心弱い、涙もろい同心が宰領してゆくことになると、その同心は不覚の涙を禁じ得ぬのであった。
— 森鴎外 『高瀬舟』 青空文庫
夕闇の迫って来るに従って、ますます丹の色に燃え盛る原城を見つめながら、彼は不覚の涙を流したのである。
— 菊池寛 『恩を返す話』 青空文庫
家臣どもから、いい加減に扱われていた自分は、お祖父様からも手軽に操られているのではないかと思うと、忠直卿の瞳には、初めて不覚の涙が滲み始めた。
— 菊池寛 『忠直卿行状記』 青空文庫
そして久助は、出がけに彼の眼瞼を熱くした、あの不覚の涙に溺れなかった為に、今こうやって自分が、朋輩の誰よりかも、一番忠僕になれた事を考えて、鮎ずしを頬張りながら、思わずひとりで微笑んだ。
— 池谷信三郎 『忠僕』 青空文庫
はい」「不覚の涙を流すでないぞ。
— 直木三十五 『南国太平記』 青空文庫
さしも持崩して千瘡万穴の、この神尾の醜骸を、まだ取りどころのあるものとして、手を触れてみてくれるだけでも頼もしいと、神尾が一応、不覚の涙を催したというのも無理はないでしょう。
— 椰子林の巻 『大菩薩峠』 青空文庫
作例 · 標準
人前では決して泣かないと決めていたが、幼馴染の温かい言葉に不覚の涙を流した。
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卒業式での恩師の最後の挨拶を聞き、抑えきれずに不覚の涙が頬を伝った。
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優勝を逃した悔しさのあまり、チームメイトの前で不覚の涙をこぼしてしまった。
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