横紙破り
よこがみやぶり
名詞
標準
acting illogically
文例 · 用例
と呟きつつ高田に向い、「どうせ横紙破りの祝言だ。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
「ファビアン」は第一次大戦後の混乱と頽廃と無気力と不安の中に蠢いている独逸の一青年を横紙破りの新しいスタイルで描いたもので、戦後の日本の文学の一つの行き方を、僕はこの小説に見たと思った。
— 織田作之助 『土足のままの文学』 青空文庫
横紙破りの、ちょっと他人には真似ることの出来ないいたずらだったから、やってみると、快感はあったが、しかし、そのいたずらが結局殺人行為となってみると、いかな豹吉でも、さすがに薄気味悪い後味は心の底に残っていた。
— 織田作之助 『夜光虫』 青空文庫
信吉の意に適っているのは、野放図、破天荒、横紙破り、常規を逸したもの、破目を外したもの、尻尾を出すこと――いわゆる反俗精神の裏づけあるものに限られていた。
— 織田作之助 『夜の構図』 青空文庫
何故と云へば、その人は横紙破りで、我ばかり強いといふ性格を示してゐるので、平たく申せば非常識の人間であるからである。
— 幸田露伴 『些細なやうで重大な事』 青空文庫
途端に笛の音がやんで、隣から聴え来たのは、「我こそは信州真田の鬼小姓、笛も吹けば法螺も吹く、吹けば飛ぶよな横紙を、破った数は白妙の、衣を墨に染めかえた、入道姿はかくれもなき、天下の横紙破り三好清海入道だ」「なアんだ、三好か」 佐助はふき出してしまった。
— 織田作之助 『猿飛佐助』 青空文庫
奇行、珍癖の横紙破りが多い将棋界でも、坂田は最後の人ではあるまいか。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫
いや、無学文盲で将棋のほかには何にも判らず、世間づきあいも出来ず、他人の仲介がなくてはひとに会えず、住所を秘し、玄関の戸はあけたことがなく、孤独な将棋馬鹿であった坂田の一生には、随分横紙破りの茶目気もあったし、世間の人気もあったが、やはり悲劇の翳がつきまとっていたのではなかろうか。
— 織田作之助 『可能性の文学』 青空文庫