顔見
かおみ
名詞
標準
文例 · 用例
お松にはとても顔見合って別れることは出来ないところから、自分の気づかない間に逃げようとしたのだが、其機会を得られずに泊って終った。
— 伊藤左千夫 『守の家』 青空文庫
今アナタノ顔見ナイノハ。
— 室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ 『小泉八雲の家庭生活』 青空文庫
誰にも、それは、語れない ことだけれども、それこそが、いのちだらうぢやないですか、 けれども、それは、示かせない……かくて、人間、ひとりびとり、 こころで感じて、顔見合せればにつこり笑ふといふほどの ことして、一生、過ぎるんですねえ雨が、あがつて、風が吹く。
— 亡き児文也の霊に捧ぐ 『在りし日の歌』 青空文庫
町の芸妓達は月光の下でスカリプタの恋愛小説を読みながら顔見世の順番を待っている。
— 吉行エイスケ 『孟買挿話』 青空文庫
「その向の方なら、大概私が顔見知りよ。
— 泉鏡花 『古狢』 青空文庫
」 顔見られたのが不思議なほどの、懐かしそうな言であった。
— 泉鏡花 『女客』 青空文庫
八 差配は溜息と共に気取って頷き、「いつ、どこでと云ってね、お前、縁日の宵の口や、顔見世の夜明から、見えなくなったというのじゃない。
— 泉鏡花 『陽炎座』 青空文庫
な、買うて来るついではあって、一夜祈はあげたけれど、用の間が忙しゅうて、夜さり高津の蛇穴へ放しに行く隙がない、頼まれて欲い――云うて、美津さんに託きょう、とそれが用で顔見に行かはった云うたやないか。
— 泉鏡花 『南地心中』 青空文庫