逗
逗
名詞
標準
文例 · 用例
むかし源義経、高館をのがれ蝦夷へ渡らんと此所迄来り給ひしに、渡るべき順風なかりしかば数日逗留し、あまりにたへかねて、所持の観音の像を海底の岩の上に置て順風を祈りしに、忽ち風かはり恙なく松前の地に渡り給ひぬ。
— 太宰治 『津軽』 青空文庫
北沢君なんかといっしょに訪ね、小生もその附近の宿にしばらく逗留してみたいと思います。
— 太宰治 『虚構の春』 青空文庫
富士を高く見せてあだかも我々が逗子の「あぶずり」で眺むるように見せるのはこの辺にかぎる。
— 国木田独歩 『武蔵野』 青空文庫
…… 以前、あしかけ四年ばかり、相州逗子に住った時(三太郎)と名づけて目白鳥がいた。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
尤もなかなかの悪戯もので、逗子の三太郎……その目白鳥――がお茶の子だから雀の口真似をした所為でもあるまいが、日向の縁に出して人のいない時は、籠のまわりが雀どもの足跡だらけ。
— 泉鏡花 『二、三羽――十二、三羽』 青空文庫
逗子にいた時、静岡の町の光景が見たくって、三月の中ばと思う。
— 泉鏡花 『雛がたり』 青空文庫
実はな、かような事は、打明けて申せば、貴下より御令室の御意向が主でごわりまするで、その御言葉一ツが、いかがの極まりまする処で、推着けがましゅうごわりますが、英吉君の母も、この御返事……と申しまするより、むしろ黄道吉日をば待ちまして、唯今もって、東京に逗留いたしておりまする次第で。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫
五 聞けば、夫人は一週間ばかり以前から上京して、南町の桐楊塾に逗留していたとの事。
— 泉鏡花 『婦系図』 青空文庫