蒸殺
じょうさつ
名詞
標準
文例 · 用例
それからがく/″\して歩行くのが少し難渋になつたけれども、此処で倒れては温気で蒸殺されるばかりぢやと、我身で我身を激まして首筋を取つて引立てるやうにして峠の方へ。
— 泉鏡太郎 『高野聖』 青空文庫
それからがくがくして歩行くのが少し難渋になったけれども、ここで倒れては温気で蒸殺されるばかりじゃと、我身で我身を激まして首筋を取って引立てるようにして峠の方へ。
— 泉鏡花 『高野聖』 青空文庫
新びいどろ学士は蒸殺しになりさうな板の上で昼寝と読書の一夏をすごした。
— 原民喜 『氷花』 青空文庫
自分の弱い心、弱い魂は、不幸に圧倒される許りではなく、幸福に蒸殺されそうにさえなる。
— 一九二〇年(大正九年) 『日記』 青空文庫
どこを見ても、泥で固めた家々の屋根瓦が、鉛のやうに鈍く日の光を反射して、その下に懸けてある燕の巣さへ、この塩梅では中にゐる雛や卵を、そのまゝ蒸殺してしまふかと思はれる。
— 芥川龍之介 『酒虫』 青空文庫