殉情
じゅんじょう
名詞
標準
文例 · 用例
これは情想のすなほにして殉情のほまれ高きを尊ぶ。
— 萩原朔太郎 『青猫』 青空文庫
あの女性的で、感傷的で、本來優美な性情をもつた殉情詩人の生田春月が、晩年に於ける烈しい思想への轉向は何を語るか。
— 萩原朔太郎 『悲しき決鬪』 青空文庫
ただちがふところは、ラムボオが透徹した知性人であつたに反し、中原君がむしろ殉情的な情緒人であつたといふ一事である。
— 萩原朔太郎 『中原中也君の印象』 青空文庫
先刻から考へる力を失つたやうに默つたまゝ、うつむいて、扇をつかつてゐる兄が弱々しい殉情の犧牲の如くに憐れまれた。
— 有島武郎 『實驗室』 青空文庫
此の我々の感性に近いもの、寧ろ民謡でさへある殉情詩が、此の殉情的な国で、今迄読まれなかつたなぞといふことは不思議だと、今度此の全集の第一巻が出た後では、諸君も必ずやさうお思ひになることと思ひます。
— 中原中也 『宮沢賢治全集刊行に際して』 青空文庫
こんな安価な殉情的な事柄に涕を流したのが少し恥かしかったのだ。
— 太宰治 『葉』 青空文庫
たゞ、それ程あつさりした間柄と思つてゐた男を、あの体臭ぐるみ他人に独占されたとなると、むら/\と苦痛に絶する焔が肉体の内部を転動させて、長年鍛へた魂の秩序も、善悪の判断も、芸術への殉情も一挙に覆りかけるとは――。
— 岡本かの子 『花は勁し』 青空文庫
彼等は求婚に対しては優位の資格から揣摩憶測し、比率較計し、殉情より利益を考える。
— 岡本かの子 『生々流転』 青空文庫