関横
せきよこ
名詞
標準
文例 · 用例
さみだれが煙るように降る夕方、老妓は傘をさして、玄関横の柴折戸から庭へ入って来た。
— 岡本かの子 『老妓抄』 青空文庫
机を据えたのは、玄関横の往来に面した陰気な四畳半であった。
— 徳田秋声 『黴』 青空文庫
この瓶で御座います」 といううちに後家さんは立上って、玄関横の薬局から白の結晶の詰まった茶色の瓶を持って来た。
— 夢野久作 『無系統虎列剌』 青空文庫
その夜深く件の黒髪の孩児を抱きて秘かに産室をよろぼい出で、跣足のまま数|哩を歩行して、翌日の正午親里に帰り着きしが、家人の隙を窺いて玄関横の応接間に入り、その正面に掲げある黒髪の美青年の肖像画の前に来り、石甃の上にたおれ伏したるまま息|絶えぬ。
— 夢野久作 『押絵の奇蹟』 青空文庫
わざわざ出勤を遅らせた私が、玄関横の客間に彼女を坐らせていろいろ取り調べの模様を聞いてみると……どうであろう。
— 夢野久作 『少女地獄』 青空文庫
それから玄関横に六畳の別室があり、ここは出征中の長男の嫁の部屋になっている。
— ――木人夜穿靴去、石女暁冠帽帰(指月禅師) 『夜の靴』 青空文庫
中川は私の所持品を調べたのち、「さ、留置場へ行こう」 先に立って高等室を出、警察の正面玄関横から登る階段とは違う狭いガタガタした裏階段を下り、刑事室の前に出て、右手つき当りの鉄格子入りのくもり硝子の戸をコツコツと叩いた。
— 宮本百合子 『一九三二年の春』 青空文庫
伸子が、その行李を、中玄関横の板じきにおいているところへ、保が出て来た。
— 宮本百合子 『二つの庭』 青空文庫