幻辞.com

消々

消々
名詞
1
標準
文例 · 用例
そのかわり、じっと沈んで暗くなると、紺の縦縞が消々になる。
泉鏡花 吉原新話 青空文庫
七 枕に響いた点滴の音も、今さらこの胸からか、と悚然とするまで、その血が、ほたほたと落ちて、汐が引くばかりに、見る間に、びしゃびしゃと肉が萎む、と手と足に蒼味が注して、腰、肩、胸の隅々に、まだその白い膚が消々に、薄らと雪を被いで残りながら、細々と枝を組んで、肋骨が透いて見えた。
泉鏡花 沼夫人 青空文庫
…… 段々|孤家の軒が暗くなって、鉄板で張ったような廂が、上から圧伏せるかと思われます……そのまま地獄の底へ落ちて行くかと、心も消々となりながら、ああ、して見ると、坂下で手を掉った気高い女性は、我らがための仏であった。
泉鏡花 星女郎 青空文庫
じっとみまもれば心も消々になりぬ。
泉鏡花 誓之巻 青空文庫
竜巻がまだ真暗な、雲の下へ、浴衣の袖、裾、消々に、冥土のように追立てられる女たちの、これはひとり、白鷺の雛かとも見紛うた、世にも美しい娘なんです。
泉鏡花 河伯令嬢 青空文庫
白い頬が、滑々と寄つた時、嘴が触れたのであらう、……沢は見る/\鼻のあたりから、あの女の乳房を開く、鍵のやうな、鸚鵡の嘴に変つて行く美女の顔を見ながら、甘さ、得も言はれぬ其の餅を含んだ、心消々と成る。
泉鏡花 貴婦人 青空文庫
同時に例の不断の痛苦は彼を撻つやうに募ることありて、心も消々に悩まさるる毎に、齷※利を趁ふ力も失せて、彼はなかなか死の安きを懐はざるにあらず。
尾崎紅葉 金色夜叉 青空文庫