店前
たなさき
名詞
標準
storefront
文例 · 用例
昼前に銀座まで出掛けたら諸所の店前の立看板などが吹き飛ばされ、傘を折られて困っている人も少なくなかった。
— 寺田寅彦 『マーカス・ショーとレビュー式教育』 青空文庫
隣屋はこの辺に棟を並ぶる木屋の大家で、軒、廂、屋根の上まで、犇と木材を積揃えた、真中を分けて、空高い長方形の透間から凡そ三十畳も敷けようという店の片端が見える、その木材の蔭になって、日の光もあからさまには射さず、薄暗い、冷々とした店前に、帳場格子を控えて、年配の番頭が唯一人|帳合をしている。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
普請小屋と、花崗石の門柱を並べて扉が左右に開いて居る、門の内の横手の格子の前に、萌黄に塗った中に南と白で抜いたポンプが据って、その縁に釣棹と畚とがぶらりと懸って居る、真にもの静かな、大家の店前に人の気勢もない。
— 泉鏡花 『三尺角』 青空文庫
夏の晩方、表町へ買物が有って、麻の法衣で、ごそごそと通掛ると、その足袋屋の小僧の、店前へ水を打っていた奴、太粗雑だから、ざっと刎ねて、坊さんが穿きたての新しい白足袋を泥だらけにしたんだとね。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」生理学教室四十八 お孝は黒繻子の襟、雪の膚、冷たそうな寝衣の装で、裾を曳いて、階子段をするすると下りると、そこに店前の三和土にすっくと立った巡査に、ちょっと目礼をして、長火鉢の横手の扉を、すっと縁側へ出て行く。
— 泉鏡花 『日本橋』 青空文庫
」 と店前の縁側、壁に立掛けてあつた奴を、元二が自分で据直して、腰を掛ける。
— 泉鏡太郎 『二た面』 青空文庫
」「そう、」と極めてその意を得たという調子で、いそいそずッと出て、店前の地へ伝法に屈んだのは、滝太郎である。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫
」「ははあ、幾ら俺が手下を廻すとって、まさかそれほどの事では交番へも引張り出せないで、一名制服を着けて、洋刀を佩びた奴を従えて店前へ喚き込んだ。
— 泉鏡花 『黒百合』 青空文庫