畑土
はたつち
名詞
標準
文例 · 用例
そういう面積を標準としたことは出来た馬鈴薯を売りものにしないという目安に立ってのことであろうが、田舎で本ものの馬鈴薯畑を見たり、裸足を甲までも柔かい畑土にうずめて馬鈴薯ほりをした思い出からは、云われていることが何か手遊びめいた感じで妙な気がした。
— ――なすよしもなき馬鈴薯と綿―― 『昔を今に』 青空文庫
駒屋の親父さまあ家の畑土は、一度も手がつかねえほどなんだし 婆さんは、桑の相場をきいたと思って居るのだ。
— 宮本百合子 『農村』 青空文庫
あんたの方も重い機械を据えつけなさって、じき土台がめりこむような畑土じゃこまるだろうし。
— 宮本百合子 『昔の火事』 青空文庫
もし変ったところと云えば、枝を手にもっている若い男の足許のところに、赭土を区切って一間四方ぐらい畑土が黒くつまった場所があるが、そんなところはこの地下げが始ったときからあって、こう見わたしたところ、敷地全体にちらばって二十や二十四五ヵ所、色ちがいのところはあるのだ。
— 宮本百合子 『昔の火事』 青空文庫
一面耕されているし、耕されている畑土は柔かく軽そうで、それは遠望する阪神の山々の嶺が、高く鋭いのにかかわらず、どこか軽々と夕空に聳えている、その風光と調和している。
— 宮本百合子 『播州平野』 青空文庫
畑土並に流水の定量分析を出願致度旨にて、現品分量問合の趣領承。
— 木下尚江 『政治の破産者・田中正造』 青空文庫
「種も粒選りであったし、日もよかったし、気分もすぐれていたし、それにここの畑土は肥えているのだ。
— ――黙子覚書―― 『夢は呼び交す』 青空文庫
幸福を求めて街と家家との遠方この菜の畑も畑土の盛り上つた心持をもいまはこれまでにない親密さをもつて眺めることが出来る一直線に走つた菜の畑はところどころに冬枯れの寂しさを点綴してゐるごほごほいふ小川の水これは又生れて初めて聞く小川の音だこの正しい流れやうは!
— 室生犀星 『愛の詩集』 青空文庫