年歯
ねんし
名詞
標準
文例 · 用例
下りて七合目に至る、霜髪の翁、剛力の肩をも借らず、杖つきて下山するに追ひつく、郷貫を質せば関西の人なりといふ、年歯を問へば、即ち対へて曰く、当年八十四歳になります!
— ――明治三十六年八月七日御殿場口にて観察―― 『霧の不二、月の不二』 青空文庫
ヤ、こりゃ偉い物だぞ、今の年歯で斯様では、と感歎して、畏るべし、畏るべし、此児の行末は百万にも将たるに至ろう、と云ったという。
— 幸田露伴 『蒲生氏郷』 青空文庫
のみならず、もうかいがいしく立ち上がりざま、すぐとお勝手へおり立って、まだおそらく十か十一くらいの年歯だろうと思われるのに、手おけを片手にしながら、さっさと井戸ばたへ出ていったものでしたから、鼻をつままれて少しくぼんやりとしてしまったものは、いつもながらの伝六だったのです。
— なぞの八卦見 『右門捕物帖』 青空文庫
我儘な一人息子は、年歯三十にして初めて自活――それもファニイとその子供迄養う決心をして、英国を飛出した。
— 中島敦 『光と風と夢』 青空文庫
是は彼がゲツチンゲンで修業してゐる頃で、年歯にすると二十二三の時の事である。
— 夏目漱石 『点頭録』 青空文庫
死んだ人のうちには、御爺さんも御婆さんもあるが、時には私よりも年歯が若くって、平生からその健康を誇っていた人も交っている。
— 夏目漱石 『硝子戸の中』 青空文庫
私を生んだ時、母はこんな年歯をして懐妊するのは面目ないと云ったとかいう話が、今でも折々は繰り返されている。
— 夏目漱石 『硝子戸の中』 青空文庫
私とはだいぶ年歯が違うので、兄弟としての親しみよりも、大人対小供としての関係の方が、深く私の頭に浸み込んでいる。
— 夏目漱石 『硝子戸の中』 青空文庫