寄集
寄集
名詞
標準
文例 · 用例
それで勘定場近くの便所の口へ出て低い木柵越しに外を見ると、そこに一団、かしこに一団という風に人間が寄集まって茫然として空を眺めている。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
精養軒のボーイ達が大きな桜の根元に寄集まっていた。
— 寺田寅彦 『震災日記より』 青空文庫
」 と音訪う処へ、新聞配達、牛乳配達、往来を掃きに出でたる向の親仁、隣の小僧、これを見付けて寄集り、「なるほどこれじゃ、道理で恐しく犬が吠えた。
— 泉鏡花 『貧民倶楽部』 青空文庫
百草の花のとじめと律義にも衆芳に後れて折角咲いた黄菊白菊を、何でも御座れに寄集めて小児騙欺の木偶の衣裳、洗張りに糊が過ぎてか何処へ触ッてもゴソゴソとしてギゴチ無さそうな風姿も、小言いッて観る者は千人に一人か二人、十人が十人まず花より団子と思詰めた顔色、去りとはまた苦々しい。
— 二葉亭四迷 『浮雲』 青空文庫
三人が暗い所に時々寄集って、何とかして又四郎を追い出したいと相談を凝したが、律義一方の婿の上から何かの落度を見付け出すということは頗る困難であった。
— 岡本椅堂 『黄八丈の小袖』 青空文庫
その他には梅と楓と躑躅と、これらが寄集って夏の色を緑に染めているが、これは幾分の人工を加えたもので、門を一歩出ると自然はこの町の初夏を桜若葉で彩ろうとしていることが直に首肯かれる。
— 岡本綺堂 『磯部の若葉』 青空文庫
いずれにしても、そんな奇怪な書類を中心にして、刺青をした人間ばかりが寄集まっている点が不思議といえば不思議である。
— 夢野久作 『S岬西洋婦人絞殺事件』 青空文庫
愛とか何とか云うて睾丸の無いような奴が大勢寄集まって、涙をボロボロこぼしおるが、本家の耶蘇はチャンと睾丸を持っておった。
— 夢野久作 『近世快人伝』 青空文庫