顔打
かおだ
名詞
標準
文例 · 用例
道々|手筈を定めけむ、八蔵は銀平と知らざる人のごとくに見せ、その身は上口に腰打懸け、四辺をきょろきょろ見廻すは、もしや婦人を尋ねにかと得右衛門も油断せず、顔打守りて、「貴方は御泊ではございませんか。
— 泉鏡花 『活人形』 青空文庫
一人は畔柳の娘なりとは疾く知られけれど、顔打背けたる貴婦人の眩く着飾りたるは、子爵家の客なるべしと纔に察せらるるのみ。
— 尾崎紅葉 『金色夜叉』 青空文庫
ばあや、もっとこちらへお寄りな」 「ありがとうございます」言いつつ老女はつくづく顔打ちながめ「うそのようでございますねエ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
」 「美しい花嫁様という事さ」 「まあ、いや――あんな言を」 さと顔打ちあかめて、ランプの光まぶしげに、目をそらしたる、常には蒼きまで白き顔色の、今ぼうっと桜色ににおいて、艶々とした丸髷さながら鏡と照りつ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
浪子は顔打ちおおいつつむせびぬ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
風がひどいのでよくは聞こえないのですがその声が変に聞いたようでね、とやこうしてマッチを出して、蹴込みの方に向いてマッチをする、その火光で車夫の顔を見ますと、あなた、父じゃございませんか」 老婦人がわれにもあらず顔打ちおおいぬ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
浪子は顔打ちおおいて、父の膝にうつむきたり。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫
浪子はその手を執り 「お母さま――御免――遊ばして」 子爵夫人の唇はふるい、物を得言わず顔打ちおおいて退きぬ。
— 徳冨蘆花 『不如帰 小説』 青空文庫