差し付け
さしつけ
名詞
標準
文例 · 用例
」と技手君が砂糖壺を差し付けた。
— 北原白秋 『フレップ・トリップ』 青空文庫
其一枚を剥がして、新らしく畳み直して、此所を読んで見ろと差し付けた。
— 夏目金之助 『三四郎』 青空文庫
急いで近寄って提灯を差し付けると、そこにも一つの穴があって、その穴から一人の大男があたかも這い上がって来た。
— 岡本綺堂 『探偵夜話』 青空文庫
又蔵、燈火を見せてくれ」 中間の提灯を差し付けさせて、平助は堤の裾にしゃがんで草履の緒を立てていた。
— 朝顔屋敷 『半七捕物帳』 青空文庫
今日、あの非道者は、妾の胸にも白刄を差し付けて、われに靡け、否と云はゞ御身はもとより、母御前も渡どのも一つ刄に、刺し貫いて呉るゝぞと云つた。
— 菊池寛 『袈裟の良人』 青空文庫
忽ち、伯母御前なる、衣川殿を訪ねて、あさましや、白刄を伯母の胸に差し付け、袈裟を呉るるか命を呉るゝか、二つに一つと脅した。
— 菊池寛 『袈裟の良人』 青空文庫
それに連れて後から後から福太郎に盃を持って来る者が多かったが、その中でも最前から何くれとなく世話を焼いていた仕繰夫の源次が、特別に執拗く盃を差し付けたので、元来がイケナイ性質の福太郎は逃げるのに困ってしまった。
— 夢野久作 『斜坑』 青空文庫
それから、やがて小さな書物を男の眼の前に差し付けて、顔をずっと近付けながら、何かひそひそと話していたようであったが、紫色のハンカチを時々眼に当てて泣いているようにも見えた。
— 夢野久作 『暗黒公使』 青空文庫