巻き物
まきもの
名詞
標準
文例 · 用例
このごろ始終帝の御覧になるものは、玄宗皇帝と楊貴妃の恋を題材にした白楽天の長恨歌を、亭子院が絵にあそばして、伊勢や貫之に歌をお詠ませになった巻き物で、そのほか日本文学でも、支那のでも、愛人に別れた人の悲しみが歌われたものばかりを帝はお読みになった。
— 桐壺 『源氏物語』 青空文庫
この日はまた書の話ばかりをしておいでになって、色紙の継いだ巻き物が幾本となく席上へ現われるのであったが、宮は子息の侍従を邸へおやりになって、御蔵品もお取り寄せになった。
— 梅が枝 『源氏物語』 青空文庫
嵯峨帝が古万葉集から撰んでお置きになった四巻、延喜の帝が古今集を支那の薄藍色の色紙を継いだ、同じ色の濃く模様の出た唐紙の表紙、同じ色の宝石の軸の巻き物へ、巻ごとに書風を変えてお書きになったものなどがそれであった。
— 梅が枝 『源氏物語』 青空文庫
源氏の書いた帳のはいる箱には、高い階級に属した人たちの手になった書だけを、帳も巻き物も珍しい装幀を加えて納めることにしていた。
— 梅が枝 『源氏物語』 青空文庫
この巻き物は特に沈の木の華足の机に置いて、仏像を安置した帳台の中に飾ってあった。
— 鈴虫 『源氏物語』 青空文庫
私は学校から帰って来ると、母から、再度生老人が置いて行ったのだと言って、新聞紙に包んだ巻き物を渡された。
— 佐左木俊郎 『再度生老人』 青空文庫
」 そう七郎左衛門は答えて、一丈も二丈もあるような巻き物を奥座敷の小襖から取り出して来た。
— 第一部上 『夜明け前』 青空文庫
ジョーはその包みを開き好いように両膝を突いて、幾つも幾つもの結び目を解いてからに、大きな重そうな巻き物になった何だか黒っぽい布片を引き摺り出した。
— A CHRISTMAS CAROL 『クリスマス・カロル』 青空文庫