幻辞.com

目近

めじか
名詞
1
標準
文例 · 用例
悚然として、向直ると、突当りが、樹の枝から梢の葉へ搦んだような石段で、上に、茅ぶきの堂の屋根が、目近な一朶の雲かと見える。
泉鏡花 春昼 青空文庫
烏は鴎が浮いたよう、遠近の森は晴れた島、目近き雷神の一本の大栂の、旗のごとく、剣のごとく聳えたのは、巨船天を摩す柱に似て、屋根の浪の風なきに、泡の沫か、白い小菊が、ちらちらと日に輝く。
泉鏡花 白金之絵図 青空文庫
細道の左右に叢々たる竹藪が多くなってやがて、二つの小峯が目近く聳え出した。
岡本かの子 東海道五十三次 青空文庫
暴食の癖なども殆ど失せたせいか、健康もずっと増し、二十|貫目近い体に米琉の昼丹前を無造作に着て、日向の椽などに小さい眼をおとなしくしばたたいて居る所などの氏は丁度象かなどの様に見えます。
――親の前で祈祷 岡本一平論 青空文庫
「姉の方は、天か地か、まるで幽明処を隔つ、遠い昔のものがたりの中に住むか、目近に姿ばかりの錦絵を見るようだろう。
泉鏡花 日本橋 青空文庫
日影は枯芝の根を染めながら、目近き霧のうら枯を渡るのが、朦朧と、玉子|形の鶏を包んで、二羽に円光の幻を掛けた。
――(前題――楊弓) ピストルの使い方 青空文庫
仰の趣は承り候、さりながら敵地に入り、敵を目近に置きながら留まるべくも候わねば、明日は我が人数を先へ通し候べし、御養生候て後より御出候え、と穏やかな挨拶だ。
幸田露伴 蒲生氏郷 青空文庫
目近くに見た彼女は何と云う美しい女であろう!
渡辺温 可哀相な姉 青空文庫