山紫
さんし
名詞
標準
文例 · 用例
外来語は山紫水明の古都までも無遠慮に侵入している。
— 九鬼周造 『外来語所感』 青空文庫
三ノ池は一ノ他の半分ほどしかないが、木が茂って松蘿が、どの枝からも腐った錨綱のようにぶら下っている、こればかりではない、葛、山紫藤、山葡萄などの蔓は、木々の裾から纏繞いて翠の葉を母木の胸に翳し、いつまでもここにいてと言わぬばかりに取り縋っている。
— 小島烏水 『梓川の上流』 青空文庫
頼氏では山陽が此春水西荘に山紫水明処を造つた。
— 森鴎外 『伊沢蘭軒』 青空文庫
朝鮮も、高麗、新羅、百済、任那など互に攻略して、其処も安住の地でないので、彼等の中には、交通のやうやく開けたのに乗じ、山紫水明にして、気候温和なるわが国に移住帰化したものが多かつた。
— 菊池寛 『二千六百年史抄』 青空文庫
山紫水明のミラノと云う。
— 横光利一 『欧洲紀行』 青空文庫
頼山陽が日本外史を書いた山紫水明楼は、四畳と二畳との二間から成つてゐたものだと云ふが、今私は、書斎と寝室を兼ねるのなら、四畳半か三畳で結構だし、書斎だけなら三畳か二畳で結構だと思つてゐる。
— 河上肇 『小国寡民』 青空文庫
人易老山川不老 人老い易く山川老いず、依稀山紫水明郷 依稀たり山紫水明の郷。
— 河上肇 『閉戸閑詠』 青空文庫
山紫水明な京都の風物が、男の体へ女性の一部分を吹き込んで仕舞ったと云うような体つきをし、言葉をして居る。
— 一九一六年(大正五年) 『日記』 青空文庫